予算および経費

  • ブラウザ
  • iPad

Veeva Events Management には、予算の策定、イベント計画と予算の紐づけ、これらの予算に対する経費の記録に関する機能が含まれます。

このモジュールは以下のオブジェクトを使用します。

  • EM_Budget_vod
  • EM_Event_Budget_vod
  • EM_Expense_Estimate_vod
  • Expense_Type_vod
  • Expense_Header_vod
  • Expense_Line_vod

予算階層の設定

Veeva Events Management の予算は、一回限り、または予算階層の一部とすることができます。予算階層の例として、高レベル (ブランド、地域または両方) から低レベルに予算を分割する例が挙げられます。例えば、国レベルの予算をテリトリレベルに分割することができます。

この例では、国内予算が東部と西部の予算に分割されています。東部と西部の予算を、さらに分割することもできますが、そうすると多くのレベルが必要となります。

予算ID

予算識別子は、正しい予算を選択するための追加情報をユーザに提供するために使用可能なテキストフィールドです。例えば予算識別子をコストセンターコードや、予算の適切な時期をユーザが決定しやすくするためのテキストによる説明とすることができます。

見込み経費、決定済み経費および実績の経費

経費を管理するため、Veeva Events Management は、見込み、決定済み、実績の 3 つの経費段階を使用します。

これらの値は以下に保存されます。

  • 予算
  • イベント予算
  • イベント
  • 経費見積
  • 経費ヘッダー
  • 経費ライン

各値の入力ポイントは 1 つのみです。それ以外の見込み、決定済み、実績の経費を表示するすべてのページでは、これらの値を参照専用として配置しなければいけません。

  • 見込み値は、経費見積レコードにのみ入力されます
  • 決定済み経費と実績の経費値は経費ラインレコードにのみ入力されます
  • これらの場所に入力すると、値がその場所より上のすべての予算オブジェクトに反映されます

例えば、旅費の見積もりに $500 と入力すると、見積りが選択されたイベント予算の見積りフィールドに $500 が加算されます。次にこの値は、イベント予算に関連付けられた予算に反映され、それよりも上位階層のすべての予算にも反映されます。同じことが、経費ラインに入力された決定済み経費と実績の経費の値にも当てはまり、これは反映させるイベント予算に関連付けることができます。

  • これらの値の他の入力ポイントは、自動反映に対応していません。

イベントに使用する予算を選択すると、見込み残予算が表示されます。これは、残予算に最も保守的な値を提案するためです。この値は、終了したイベントの実際の経費と、予定イベントの見込み経費とを引いて算出されます。

経費タイプを設定する

経費タイプは Expense_Type_vod テーブルに保存されます。このテーブルの各行は単一の経費タイプを表します。

経費タイプの主な属性は次の通りです。

  • 名前
  • 経費コード
  • 有効フラグ – ユーザがこの経費タイプを選択できるように選択しておく必要があります
  • 経費タイプ識別子 – ユーザが正しい経費タイプを選択できるようにするために使用されます
  • 親経費タイプ – タイプとサブタイプの設定に使用されます。このフィールドが空白の場合、経費タイプは最上位レベルとなります。値が入力されていると、経費タイプはサブタイプとなります。2 階層までがサポートされています。
  • 国 – 国ごとの経費タイプの設定に使用されます

食事経費および講演者経費

経費タイプでは、講演者 Cap に対して計上するかや、食事タイプの経費として計上するかを設定することができます。この設定は、以下の 2 つのチェックボックスフィールドに基づきます。

  • Meal_Expense_vod
  • Included_In_Speaker_Cap_vod

食事経費フラグは、食事の計算に複数の経費タイプを含めることができるように使用されます。例えば、食事の経費タイプと、飲み物の経費タイプに、それぞれ食事経費フラグを選択することができます。

Veeva Events Management では、出席者当たりの平均食事コストを自動計算します。使用される数式は、経費が食事タイプのすべての実際の経費ラインの合計を、ステータスが出席済みまたは署名済みの出席者の合計で割ったものです。

講演者 Cap フラグを使用して、暦年当たりに個別の講演者のために使用された合計金額を管理します。この金額は、EM_Speaker_vod オブジェクトの Year_to_Date_Spend_vod フィールドで記録され、1 月 1 日になると自動的にリセットされます。イベント講演者とアカウントの両方が同じ講演者レコードに関連付けることができるため、経費は、この Cap に対するイベント講演者レコードもしくはアカウントレコードに記録されます。

イベント予算

EM_Event_Budget_vod は、予算をイベントに関連付けるために使用されるオブジェクトです。イベントは、複数のイベント予算レコードからの拠出を受けることができます。各レコードは、そのイベントに使用される予算を表します。例えば、2 人の営業担当者が 1 つのイベントを共同主催している場合、担当者それぞれの予算からイベント費用に使用する予算を選択することができます。同様に、複数ブランドのイベントも、複数の予算を使用してそれぞれのブランドにイベントの経費の一部を割り当てることができます。

イベント予算レコードは、経費と予算の組み合わせを決定するルーティングメカニズムとして機能します。例えば、イベントの費用が $1,000 の場合、2 つのイベント予算レコードを作成できます – 1 つは予算 A から支出される $500 の経費、もう 1 つは予算 B から支出される $500 の経費とすることができます。

予算選択の例:

  • 予算が選択されるようにするには、予算ステータスを Available_for_Use_vod とする必要があります
  • 終了日に到達すると、予算は自動的に消えます。これは、タイミングに応じて各経費を使用できるように制御するためです。予算を利用不可にしたい場合には、ステータスを変更する必要があります。
  • イベントの計画時には、ユーザはシステム上で参照可能な予算のみ選択することができます。EM_Budget_vod にはプライベート共有モデルを使用し、営業担当者を各担当者のテリトリ予算の所有者とすることで、営業担当者と各担当者のマネージャーにのみ予算を表示させることが推奨されます。これにより、同じレベルの別の営業担当者の予算が他の営業担当者には表示されなくなります。

経費見積を入力する

経費見積はイベントの計画段階に入力されます。これには 4 つの理由があります。

  • 現場のユーザが、実績経費が分かる前に、素早く簡単に概要レベルの見積を入力できるようにする
  • 承認者が、イベントの予定コストを知ることで、進めて問題ないかを決定できるようにする
  • 将来予定されているイベントの予定コストの見通しを得る
  • イベントに関する見込みコストと実績コストの差をチェックする

イベント計画中に経費見積を簡単に入力できるようにするため、iPad に経費見積作成ウィザードが搭載されています。ユーザが、経費見積ページレイアウトの経費タイプと見積フィールドに編集権限がある場合に、[+] ボタンを選択するとこのウィザードが表示されます。使用されるページレイアウトは、ページレイアウトエンジンにより決定されます (参照: ページレイアウトの定義)。

見積は経費タイプごとに 1 回のみ入力することができます。

多通貨組織では、経費ヘッダーのページレイアウトにある場合、ユーザは通貨を選択することができます。経費ラインは自動的に経費ヘッダーから通貨を継承します。

経費見積の引当元のイベント予算を選択する:

イベント予算レコードが 1 つのみである場合は、そのレコードが自動的に選択されます。この関連付けは予算自動反映に使用されます。入力された見込み値は、選択された予算の予算階層の最上部まで自動反映されます。

経費ロールアップはロールアップ前に対象レコードの通貨に変換されます。これはすべてのプラットフォームでデフォルトで有効化されています。これは Salesforce の高度な通貨管理には対応していません。

経費ヘッダーと経費ラインを入力する

イベント経費項目は、実際のインボイスの単位を想定して設計されています。そのため、各経費はヘッダーとラインで構成されています。ヘッダーには、支払者や経費使用先など、基本的な情報が含まれます。ラインには、インボイスに含まれる個別明細の内訳が含まれます。例えば、物流ベンダーのインボイスには、ベンダーの名前、インボイスの日付、支払い期日を含むヘッダー詳細が含まれます。経費ラインは、機器設置料金や旅行予約料金などの各サービスを示します。

経費ヘッダーを入力するには:

  • ユーザは、経費ヘッダーと経費ラインのオブジェクトに作成権限を持っている必要があります。
  • 経費ヘッダー関連リストは、イベントのページレイアウト上にあり、[新規] ボタンは経費ヘッダー関連リスト上にある必要があります。
  • 経費ライン関連リストは、経費ヘッダーページレイアウト上にあり、[新規] ボタンは経費ライン関連リスト上にある必要があります。
  1. イベントページの経費ヘッダー関連リストの新規ボタンをクリックし、ヘッダー詳細に入力します。

経費ヘッダーには 3 つの主たる関連付け項目があります:

  • 経費が関連するイベント。この項目は、イベントレコードから経費ヘッダーを作成する場合にデフォルトで入力されます。経費の入力値がどの予算にも適切に自動反映されるには、経費ヘッダーをイベントに関連付ける必要があります。
  • 経費に対する支払者エンティティ
  • 提供先エンティティは、6 つの異なるオブジェクトと紐づきます: EM_Event_Speaker_vod、EM_Venue_vod、EM_Attendee_vod、EM_Vendor_vod、Account、または EM_Event_Team_Member_vod
  • 単一の支払者のみを入力します
  • 経費に対する提供先エンティティ

支払先エンティティは、6 つの異なるオブジェクトと紐づきます: EM_Event_Speaker_vod、EM_Venue_vod、EM_Attendee_vod、EM_Vendor_vod、Account、または EM_Event_Team_Member_vod

  • 単一の支払者のみを入力します

支払者と提供先のフィールドが、経費ヘッダーレイアウト上で編集可能である場合、ユーザは、経費ヘッダーに関連付けられる 6 つのエンティティ (イベント講演者、出席者、イベントチームメンバー、ベンダー、会場、アカウント) のいずれからも支払者と提供先エンティティを選択することができます。ユーザにこれらのオブジェクトの FLS 権限がない場合、そのエンティティを UI で選択することはできません。

経費ヘッダーを入力すると、その経費ヘッダーに経費ラインを入力することができます。

経費ラインを入力するには、経費ライン関連リストが、ページレイアウトエンジンが使用する経費ヘッダー詳細ページにあり、[新規] ボタンがその関連リスト上にある必要があります。

経費ラインの主な属性には以下のようなものがあります

  • 経費タイプ (および任意のサブタイプ)
  • イベントへの関連付け。これは経費ライン値をイベントに自動反映するために必要です
  • 経費ヘッダーに必須の関連付け
  • 決定済み経費。これは、提供サービスに対して見積もりがなされたが、予算が配分されておらず、最終インボイス金額が異なる可能性がある場合に使用されます。
  • 実績の値

経費タイプのスタンプ

経費見積の入力時に、上位レベルの経費タイプを選択することができます。例えば、イベントの作成時に、旅費に対して $500 の見込みコストを入力することができます。

経費ラインの入力時に、粒度の細かい経費タイプを選択することができます。例えば、医師は $20 のタクシー経費に関する経費レポートを提出することができます。

両方の場合において、経費見積と経費ラインに経費タイプの詳細がスタンプされます。これにより、経費項目履歴の正確性を担保することができ、レポート作成に寄与します。例えば、旅費経費タイプの名前または経費コードがある時点で変更された場合、上述の $500 の旅費経費は、作成された当時の既存の経費コードと経費名を保持します。経費タイプが経費見積で選択されると、その経費タイプの名前と経費コードが経費見積レコードにスタンプされます。

経費タイプが経費ラインで選択されると、その経費タイプの名前と経費コードの他に、経費タイプの親タイプと親タイプコードが経費ラインにスタンプされます。例えば、旅費がタクシーの親経費タイプと仮定すると、「旅費」と「タクシー」の値が経費ラインにスタンプされます。

経費ラインの経費タイプ選択リストでは、経費タイプ名の後に経費タイプ識別子が表示されます。

経費見積の経費タイプ選択リストでは、経費タイプ名の後に経費タイプコードが表示されます。

キャンセル済みイベントの経費

イベントが終了またはキャンセルされると、実際の値が EM_Event_Budget_vod レコードの見込み値および実績値と置き換わり、関連する EM_Budget_vod レコードを更新します。

経費を SAP Concur に送信する

管理者は、ユーザが経費を手動で 2 つのシステムに入力する手間を省くため、Events Management 経費を SAP Concur に送信するよう Veeva CRM を設定することができます。設定手順については、SAP Concur と Events Management 経費のインテグレーションを参照してください。

経費レポート

Events Management は 4 つのデフォルト経費レポートに基づきます。これらのレポートは、Events Management レポートのフォルダ内にあります。これらのレポートを使用するには、Expense_Attribution_vod オブジェクトを設定します。

  • イベント別経費 – イベントのすべての経費を一覧表示します
  • イベント別経費 (全) – システム内のすべてのイベント経費を一覧表示します
  • 個人別経費 – 個人別のイベントのすべての経費を一覧表示します
  • 個人別経費 (全) – システム内のすべてのイベント経費を個人別に一覧表示します

EM_Event_vod オブジェクトの数式フィールドにより、ユーザはイベント詳細ページから、イベント別経費および個人別経費のレポートに直接リンクを作成することができます。これらの数式を作成するには:

  1. イベント別経費個人別経費のレポートに進みます。
  2. URL からこれらのレポートの Salesforce ID をコピーします。
  3. 以下の値形式を使用して EM_Event_vod オブジェクトに数式フィールドを新規作成します:

    • HYPERLINK("/SALESFORCE REPORT ID?pv0=" & Id, "クリックしてレポートを表示")
    • 例えば、Salesforce Report ID が 0Og00G5 の場合、数式の値は HYPERLINK("/0Og00G5?pv0=" & Id, "クリックしてレポートを表示") となります。
  4. これらの新規フィールドを適切な EM_Event_vod オブジェクトのページレイアウトに追加します。

予算と経費を使用する際のベストプラクティス

  • イベント進行中、常に確定されたラインを最新の状態に保ちます。こうすることで、イベントのすべての経費を適切に割り当てることができます。
  • 確定済み残りフィールドは、予算全体を見るときに便利です。このフィールドは、発生した費用または将来のイベントに割り当てられた費用の報告に使用することができ、財務予測に活用できます。